大谷翔平、君は素晴らしい、間違いなく歴史に名を残すだろう。『大谷翔平と大リーグの怪物たち。規格外れの本塁打連発に、実況が思わず叫んだ「こいつにできないことはないのか!」』
大谷翔平と大リーグの怪物たち。規格外れの本塁打連発に、実況が思わず叫んだ「こいつにできないことはないのか!」 これは凄い。開いた口がふさがらない。 大谷翔平が、肩よりも高い内角の速球を振り抜いて右翼席に叩き込んだ瞬間、私は呆気に取られてしまった。 5月… (出典:Number Web) |
これは凄い。開いた口がふさがらない。
大谷翔平が、肩よりも高い内角の速球を振り抜いて右翼席に叩き込んだ瞬間、私は呆気に取られてしまった。
5月17日、本拠地アナハイムで行われたエンジェルス対インディアンス戦の2回裏、大谷はメジャーリーグ全体でトップに立つ13号本塁打を放った。
4日間で3本の本塁打だ。3日前の5月14日、対レッドソックス戦でも驚きの一発があった。見送ればボールかと思われる外角の低い球をほとんど右手一本でバットに乗せ、左翼にそびえるグリーンモンスター越えをやってのけたのだ。
劇画的と呼びたくなるようなホームランが連発されている。オフシーズンの徹底した食事改善と下半身の筋力増強で身体が変わったとは聞いていたものの、ここまでのスープアップは並大抵のことではない。
大谷は翌日も打った。5戦で4本のホームラン。5月18日現在、本塁打数(14)、総塁打数(98)、長打数(26)、ISO(.361)が、大リーグ全体でトップだ。長打率(.632)も、ア・リーグのトップ。その他の部門でも、めざましい数字が並ぶ。
打点(33)はリーグ2位(ラファエル・デヴァースが34打点でトップ)、得点(32)はリーグ6位(ボー・ビシェットが34得点でトップ)。四球(9=85位タイ)が少ないので出塁率(.323=リーグ47位)は高くないが、それでもOPS(.956)がリーグ9位まで上がってきた。二塁打の数(11)はリーグ11位、盗塁数(6)はリーグ10位につけている。
ベーブ・ルースの野球革命
これだけ傑出した数字が並ぶと、歴史上名高い、あるいは歴史の闇に埋もれた超人的選手を連想したくなるのは当然のなりゆきだろう。なにしろ大谷は、「ピッチャーが本塁打王になる」可能性を秘めているのだ。
たとえばMLB.comには、マイナーリーグのクラスDとはいえ、1952年に1試合27奪三振(アウトすべてが三振)のノーヒッターを記録したロン・ネッチャイに関する記事が出ていた。ニューヨーク・タイムズは、ニグロリーグで投手と捕手を兼任し、「ダブル・デューティ」の綽名で知られたテッド・ラドクリフ(あのサッチェル・ペイジの友人。ペイジは開幕時41歳で大リーグに参入し、顔見世とはいえ58歳でもマウンドに登った伝説の投手だ)に言及した。
だが、「投手で本塁打王」と聞いてだれしも反射的に思い出すのは、やはり怪物ベーブ・ルースだろう。大谷がルースと比較されることは小学生でも知っているが、そのスタッツは、見れば見るほど興味深い。
「二刀流」ルースが、投手(大谷とちがって、奪三振は多くなかった。9イニングス換算で平均3.6個)として本格的に活動したのは、レッドソックス在籍時代の1919年までだった。20年にヤンキースへ移ってからもわずかに登板してはいるものの、もはや本業とは呼べない。
18年の彼(開幕時23歳)は投手として19試合に先発し、13勝7敗、防御率2.22の成績を残す一方で、ア・リーグ本塁打王(11本)をティリー・ウォーカー(アスレティックス)と分け合った。キャリア初の本塁打王だ。
翌19年、ルースの打撃(大谷との相違点は、四球が多く、出塁率が高かったことだ。5割越えも5度経験している)は野球に革命を起こす。投手としては15試合に先発して9勝5敗、防御率2.97の成績だったが、打者としては432打数29本塁打、打率.322の驚異的な数字を残すのだ。
ちなみにこの年の本塁打数第2位は、ナ・リーグの本塁打王ギャヴィ・クラヴァス(フィリーズ)の12本。ルースのパワーがどれほど飛び抜けていたかは一目瞭然だろう。
この後のルースは、長年にわたって本塁打王をほぼ独占しつづけた。18年から31年までの14年間で、本塁打王が12回。リーグMVPという表彰制度が本格的に確立されたのは31年以降だが、もしもっと早く定められていたら、何度その栄誉に輝いたかわからない。
大谷が実現する“規格外れ”の姿とは
大谷翔平には、さしあたって19年のルースを目安にしてもらいたい。ブルペンが潰滅状態のエンジェルスだけに、先発投手として勝ち星を増やすのはむずかしいだろうが、大きな故障にさえ見舞われなければ、本塁打40~50本は十分に実現可能な数字だ。これに加えて、投手として年間15試合に先発し、防御率2点台後半から3点台前半、奪三振120個を記録すれば文句なしの水準ではないか。
それにしても、メジャーリーグには「規格外れの怪物」や「奇想天外の存在」がよく似合う。タイ・カッブ、サイ・ヤング、ベーブ・ルースといった古典的怪物はもちろんのこと、日本人大リーガーに絞っても、野茂英雄やイチローやダルビッシュ有は、それぞれの形で規格外れを実現させてきた。はたして大谷翔平は、どのような形で奇想天外を拡張してくれるのか。
「なんてことだ。こいつにできないことはないのか!」と叫んだ現地のアナウンサーの反応は、けっして大げさではないと思う。
大谷翔平が、肩よりも高い内角の速球を振り抜いて右翼席に叩き込んだ瞬間、私は呆気に取られてしまった。
5月17日、本拠地アナハイムで行われたエンジェルス対インディアンス戦の2回裏、大谷はメジャーリーグ全体でトップに立つ13号本塁打を放った。
4日間で3本の本塁打だ。3日前の5月14日、対レッドソックス戦でも驚きの一発があった。見送ればボールかと思われる外角の低い球をほとんど右手一本でバットに乗せ、左翼にそびえるグリーンモンスター越えをやってのけたのだ。
劇画的と呼びたくなるようなホームランが連発されている。オフシーズンの徹底した食事改善と下半身の筋力増強で身体が変わったとは聞いていたものの、ここまでのスープアップは並大抵のことではない。
大谷は翌日も打った。5戦で4本のホームラン。5月18日現在、本塁打数(14)、総塁打数(98)、長打数(26)、ISO(.361)が、大リーグ全体でトップだ。長打率(.632)も、ア・リーグのトップ。その他の部門でも、めざましい数字が並ぶ。
打点(33)はリーグ2位(ラファエル・デヴァースが34打点でトップ)、得点(32)はリーグ6位(ボー・ビシェットが34得点でトップ)。四球(9=85位タイ)が少ないので出塁率(.323=リーグ47位)は高くないが、それでもOPS(.956)がリーグ9位まで上がってきた。二塁打の数(11)はリーグ11位、盗塁数(6)はリーグ10位につけている。
ベーブ・ルースの野球革命
これだけ傑出した数字が並ぶと、歴史上名高い、あるいは歴史の闇に埋もれた超人的選手を連想したくなるのは当然のなりゆきだろう。なにしろ大谷は、「ピッチャーが本塁打王になる」可能性を秘めているのだ。
たとえばMLB.comには、マイナーリーグのクラスDとはいえ、1952年に1試合27奪三振(アウトすべてが三振)のノーヒッターを記録したロン・ネッチャイに関する記事が出ていた。ニューヨーク・タイムズは、ニグロリーグで投手と捕手を兼任し、「ダブル・デューティ」の綽名で知られたテッド・ラドクリフ(あのサッチェル・ペイジの友人。ペイジは開幕時41歳で大リーグに参入し、顔見世とはいえ58歳でもマウンドに登った伝説の投手だ)に言及した。
だが、「投手で本塁打王」と聞いてだれしも反射的に思い出すのは、やはり怪物ベーブ・ルースだろう。大谷がルースと比較されることは小学生でも知っているが、そのスタッツは、見れば見るほど興味深い。
「二刀流」ルースが、投手(大谷とちがって、奪三振は多くなかった。9イニングス換算で平均3.6個)として本格的に活動したのは、レッドソックス在籍時代の1919年までだった。20年にヤンキースへ移ってからもわずかに登板してはいるものの、もはや本業とは呼べない。
18年の彼(開幕時23歳)は投手として19試合に先発し、13勝7敗、防御率2.22の成績を残す一方で、ア・リーグ本塁打王(11本)をティリー・ウォーカー(アスレティックス)と分け合った。キャリア初の本塁打王だ。
翌19年、ルースの打撃(大谷との相違点は、四球が多く、出塁率が高かったことだ。5割越えも5度経験している)は野球に革命を起こす。投手としては15試合に先発して9勝5敗、防御率2.97の成績だったが、打者としては432打数29本塁打、打率.322の驚異的な数字を残すのだ。
ちなみにこの年の本塁打数第2位は、ナ・リーグの本塁打王ギャヴィ・クラヴァス(フィリーズ)の12本。ルースのパワーがどれほど飛び抜けていたかは一目瞭然だろう。
この後のルースは、長年にわたって本塁打王をほぼ独占しつづけた。18年から31年までの14年間で、本塁打王が12回。リーグMVPという表彰制度が本格的に確立されたのは31年以降だが、もしもっと早く定められていたら、何度その栄誉に輝いたかわからない。
大谷が実現する“規格外れ”の姿とは
大谷翔平には、さしあたって19年のルースを目安にしてもらいたい。ブルペンが潰滅状態のエンジェルスだけに、先発投手として勝ち星を増やすのはむずかしいだろうが、大きな故障にさえ見舞われなければ、本塁打40~50本は十分に実現可能な数字だ。これに加えて、投手として年間15試合に先発し、防御率2点台後半から3点台前半、奪三振120個を記録すれば文句なしの水準ではないか。
それにしても、メジャーリーグには「規格外れの怪物」や「奇想天外の存在」がよく似合う。タイ・カッブ、サイ・ヤング、ベーブ・ルースといった古典的怪物はもちろんのこと、日本人大リーガーに絞っても、野茂英雄やイチローやダルビッシュ有は、それぞれの形で規格外れを実現させてきた。はたして大谷翔平は、どのような形で奇想天外を拡張してくれるのか。
「なんてことだ。こいつにできないことはないのか!」と叫んだ現地のアナウンサーの反応は、けっして大げさではないと思う。
【大谷翔平、君は素晴らしい、間違いなく歴史に名を残すだろう。『大谷翔平と大リーグの怪物たち。規格外れの本塁打連発に、実況が思わず叫んだ「こいつにできないことはないのか!」』】の続きを読む