忘れてはいけない水俣病の歴史を『ジョニー・デップが演じる「水俣の経験を顧みてほしい」 映画「MINAMATA」に込めた思い』


ジョニー・デップ「水俣の経験を顧みてほしい」 映画「MINAMATA」に込めた思い
 公開中の米映画「MINAMATA」(アンドリュー・レヴィタス監督)は、水俣病を熊本の現地で取材し、その実態を世界に知らしめた写真家、ユージン・スミ…
(出典:時事通信)


公開中の米映画「MINAMATA」(アンドリュー・レヴィタス監督)は、水俣病を熊本の現地で取材し、その実態を世界に知らしめた写真家、ユージン・スミス(1918~78年)の写真集を題材とした作品だ。ユージンに扮(ふん)したのはジョニー・デップ。プロデューサーとしても関わった今作への思いとは―。

「企画を受け取り、日の目を見るべき映画だと思った。参加することに全く迷いはなかった」。公開前のオンライン会見で、デップはこう力を込めた。「尋常ではない長い年月で、水俣の人が経験してきたことを顧みる機会にしてほしい」とも語った。
 水俣病は日本の四大公害病の一つで、新日本窒素肥料(現チッソ)の工場から海に流された、メチル水銀を含む工場排水が原因となって発生した。被害が公式確認されたのは1956年。それから65年がたった今なお、さまざまな訴訟が続く現在進行形の問題だ。
 「世界中を見ても同じような公害問題が繰り返されている。水俣の皆さんがたどってきた軌跡や、(映画で描かれるような)企業の腐敗が存在しうること、それが見逃されると、はびこってしまうということを、ユージンの視点を通して経験してもらいたかった」とデップ。「皆さんの近くでも、このような被害は起きている。想像力を働かせ、日々の中で数分だけでも思いをはせてみてほしい」と呼び掛ける。
 ユージンについては丁寧にリサーチを重ね、役としての在り方を模索したという。「私の存在が見え過ぎて(作品の)負担にならないか(という思い)や、彼の人生、成し遂げたものを表現することへの責任感もあった」と葛藤を明かしつつも、海外メディアが「デップが役に消える」と評したほどの演技を見せている。
 患者らへの補償を求める運動の中心に立つ男性を演じた真田広之、チッソ社長役の國村隼ら、海外でも活躍する日本人俳優が存在感をいかんなく発揮している点も、この映画の大きなみどころだ。「直感的に作品のことを理解し、深みと重みを与えてくれた。全身全霊で取り組んでくださった」。特に、ユージンの妻、アイリーン役の美波には「アイリーンさんの勇気をたたえる演技を披露してくれました」と感謝していた。

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